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ソニー損保:自動車保険の広場

以下の内容は掲載当時のもので、現在と異なる場合がございます。

【自動車保険QA(9)】親族間で人身事故!

自動車事故で両親やお子さんなどご家族を傷つけてしまう・・・、考えたくもないことですが、実際にはこのような痛ましい事故も起きています。
事故で親族にケガを負わせてしまったとき、自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)や任意自動車保険ではどこまで補償されるのか、ファイナンシャルプランナーの方に解説していただきました。


記事を執筆されたファイナンシャルプランナーのプロフィール


071031Q.jpg外出先の駐車場からクルマを出すとき、後方にいた妻を確認できず、クルマをバックさせケガを負わせてしまいました。
対人賠償保険は「他人にケガを負わせたとき」のためのものと聞いています。妻は他人ではないと思いますが、こんな場合は補償されますか?

071031A.jpg交通事故だからといって、相手はいつも他人とは限りません。大切な家族が被害者となるような痛ましい事故を、時折耳にすることもありますね。
実際にケガなどの損害が生じているわけですから、何らかの形で補償されるはず、と思うかもしれません。
ただ、交通事故で家族にケガを負わせてしまった場合、ケースにより受けられる補償は異なってきます。以下で見ていきましょう。
 

“他人”って誰?


そもそも、人にケガを負わせたときの補償とは、どのようなケースに対して支払われると定められているのでしょうか。約款の規定はこんな感じです。

自動車損害賠償責任保険(以下、自賠責保険):
「被保険者が自動車の運行によって“他人”を死傷させ、法律上の損害賠償責任を負担することにより被った損害に対し、保険金を支払う」

任意自動車保険(対人賠償保険):
「自動車の所有・使用・管理に起因して“他人”を死傷させ、法律上の損害賠償責任を負ったときに、自賠責保険から支払われるべき金額を越える部分について保険金を支払う」

さて、いずれの約款でも「他人を死傷させて損害賠償責任を負ったとき」が対象ですが、ここでのポイントは“他人”。これが、この2つの保険で補償される対象ということです。
071031Family.jpg
では、“他人”とは誰でしょう?
結論から言いますと、自賠責保険と任意保険とでは、ややこしいことに「他人」の範囲が、事実上異なります。

自賠責保険の場合は配偶者でも“他人”?


まず、自賠責保険で言うところの“他人”とは、簡単に言うと、クルマを所有している人や運転をしていた人以外の人を指しています。
よって、友人の所有するクルマを借りて運転していた人の場合、クルマの所有者である友人とは血のつながりのない他人でも、自賠責保険上では“他人”にはなりません。

となりますと逆に、クルマを所有しておらず、運転もしないなら、たとえ同居の親族であっても、自賠責保険上の“他人”とみなされることもあるわけです。

こうした自賠責保険上の“他人性”(“他人”に該当するかどうか)をめぐる判例もいくつかあります。たとえば、1972年(昭和47年)とずいぶん昔の最高裁判例なのですが、夫が運転するクルマが自動車事故を起こし、同乗していた妻がケガを負ったケースがありました。
この妻はそのクルマの所有者でなく、さらに運転免許も持っていませんでした。最高裁判決で、妻は自賠責保険上の“他人”とされ、自賠責保険への被害者請求権が認められています。

となりますと、ご質問のケースでは、夫が運転していたクルマを妻も普段から運転するのか、クルマの所有者は誰なのかなど、妻のそのクルマに関しての利用実態などを踏まえて妻の“他人性”が判断されることになるでしょう。

このように、ケガを負わせた人がたとえ配偶者であっても、“他人”とみなされれば賠償責任が発生し、自賠責保険への請求が認められることがあるわけです。
その一方で、所有している人と血のつながりがなくても、借用運転など、そのクルマと一定のかかわりがある場合には、“他人”とはみなされないこともある、というのが、一般的には判断の基準になると思われます。

ただ、個別のケースは、それほど単純ではないものです。こうした判断は実情を踏まえ、個別に行われることであると知っておいてください。

なお、今回の事故で仮に妻が死亡した場合、夫は加害者であり、かつ妻の賠償請求権の相続人になります。このように債務者(賠償義務者)と債権者(賠償請求権者)双方の立場にたった場合には、民法(*)の規定により債務と債権が消滅することになります。

(*)民法第520条

任意自動車保険の場合、親族間に“他人”はいない


一方の任意自動車保険ですが、前述の対人賠償保険の約款の文面を見た限り、自賠責保険とさほど変わらないように読めますね。

ところが、約款の「保険金を支払わない場合」を見ますと、約款で定められている特定の人が死傷した場合については、保険金が支払われないと定められています。この特定の人とは、自動車保険を申込んだ本人やその配偶者(内縁も含みます)および一定の同居の親族、借用ドライバーなどとされています。

そのようなわけで、今回ご質問のケースでは、ケガを負ったのがまさに配偶者ですから、071031panph.jpg対人賠償保険からは保険金が支払われない、ということになります。対人賠償保険上では、配偶者に“他人”はいないわけですね。

このように、自動車保険をはじめ、あらゆる保険には「保険金が支払われる場合」とあわせ「保険金が支払われない場合」が約款に定められ、「契約概要のご説明」「注意喚起情報のご説明」といったパンフレットでも説明されています。
保険金の出る・出ないはとても重要なポイント。見落とさず、必ずチェックしておく癖をつけましょう。

人身傷害補償・搭乗者傷害などが利用できる場合も

さて、親族などに交通事故で負わせてしまったケガについては、ケガをした人がどのような人か、そしてそのクルマをどのような使い方をしているのかなどに基づいて、保険金の支払い対象になるかどうかが決まるとわかりました。
その判断結果によっては、自賠責保険や任意自動車保険の対人賠償保険からは補償を受けられませんが、死傷したのが“他人”かどうかにかかわらず、保険金が支払われるのが人身傷害補償。
この補償は結構、いろいろな場面で利用できるようですね。

また、先ほど妻が死亡した場合で述べたように、親族間の死亡事故では債権・債務が消滅すると言いましたが、人身傷害補償では、加害者であり相続人である夫に、保険金が支払われます。また搭乗中に限れば、搭乗者傷害からも保険金が支払われます。


今回はちょっとややこしい問題でしたが、イザというときに慌てずにすむように、契約に関する基本的なことはきちんと押さえておくといいですね。

清水さん、どうもありがとうございました。
「人身傷害補償特約」は、過失割合にかかわらず補償されるほか休業損害や逸失利益なども補償されるなど補償が手厚くなっています。また、ご本人はもちろん、ご家族の歩行中の自動車事故や他の自動車に搭乗中の事故も補償するなど、補償の対象も広くなっていますので、イザというときの心強い支えになりそうですね。


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