【保険の選び方】家族限定は「別居の子ども」にも適用される?

2023年5月時点の内容です。

家族限定は「別居の子ども」にも適用される?

友人やお子さん、親戚の方に、車を貸したり借りたりした経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

もし、自動車保険(任意保険)に「運転者家族限定特約」など運転者の範囲を限定する特約をセットされている場合、お子さんや親戚の方が補償の対象とならないケースもありますので、注意が必要です。

こちらでは運転者の範囲を限定することで保険料を抑えられる特約の代表的なものである「運転者限定に関する特約」について事例を紹介しながら、保険金が支払われるかどうか確認していきたいと思います。

【ご注意!】

ここで紹介する事例等は、あくまでも一般的なものです。損害を受けた状況などによって実際の対応は異なることがあります。

誤解されやすい「家族」の範囲

「運転者家族限定特約」では、どこまでが「家族」とされるのでしょうか?
「家族」だと思って「運転者家族限定特約」(*1)をセットしていたら、補償の対象にならず保険金が支払われなかった、ということがないよう、「家族」の範囲について確認しておきましょう。

【事例】実家の車を運転したら、補償されない?

実家の車を運転したら、補償されない?

Aさんはご主人やお子さんを連れて1年ぶりに電車で実家に帰省しました。久しぶりの賑わいに、ご両親もとても楽しそうです。
夕方になり、夕飯の材料を買いに行くことに。スーパーまでは車でほんの5分ほどなので、Aさんは気軽に買物を引受け、実家の車を借りました。
買物を終えてスーパーの駐車場を出ようと発進したところ、隣に止まっていた車にゴツン!!
慣れない車を運転していたためか、ハンドル操作を誤ってしまいました。

幸いケガはなかったのですが、ぶつけてしまった相手の車も、実家の車も車体に大きなへこみが・・・。
Aさんは「保険会社に相談しよう」と思い、実家で自動車保険を契約している保険会社に電話をしました。

保険会社の担当者に事故の状況を説明したところ、なんと「運転者家族限定特約」(*1)がセットされているため、Aさんが起こした事故は補償の対象ではないとのこと。

お父さんからは、「Aさんも補償される自動車保険に入っている」と聞いていたのですが、どうやらお父さんは「運転者家族限定特約」(*1)の「家族」にAさんが含まれると誤解されていたようです。

結局Aさんは、車2台分の修理費を、自腹で支払うことになってしまいました。

【解説】「運転者家族限定特約」の「家族」の範囲

「運転者家族限定特約」(*1)は、運転者の範囲を「家族」に限定することで保険料を抑えることができますが、上に紹介した事例のように、この特約の「家族」に含まれない人が運転していたときの事故については保険金が支払われません。

「運転者家族限定特約」(*1)でいう「家族」とは、以下の(1)〜(4)に該当する人ですので、確認しておきましょう。

  1. (1)記名被保険者(保険証券に記載されている、「主にお車を使用される方」のことです。)
  2. (2)記名被保険者の配偶者
  3. (3)「記名被保険者またはその配偶者」の同居の親族
  4. (4)「記名被保険者またはその配偶者」のどちらとも別居している未婚の子(未婚とは婚姻歴がないことをいいます。)

子どもは家族ではない?

「運転者家族限定特約」(*1)で誤解されやすいのが、今回の事例で紹介したような、お子さんの扱いです。

さて、突然ですが、ここでクイズです。
以下の@〜Dのお子さんは「運転者家族限定特約」(*1)における「家族」に該当するでしょうか?

  1. 婚姻歴はないが、別の家で一人暮らしをしているお子さん
  2. 結婚して、同じ家に住んでいるお子さん
  3. 結婚して、別の家に住んでいるお子さん
  4. 離婚して、同じ家に住んでいるお子さん
  5. 離婚したが、家には戻らず、別の家に住んでいるお子さん
正解は、@ACは「運転者家族限定特約」における「家族」に該当

正解は、@ACは「運転者家族限定特約」における「家族」に該当しますが、BDは「家族」には該当しません。

先ほど紹介した事例はBに該当するため、「運転者家族限定特約」(*1)がセットされた実家の車を運転していて事故にあった場合は、補償の対象外となってしまうのです。

要注意!「運転者家族限定特約」をセットしてはいけない場合

「家族」以外の人が運転することが「まったく無い」のと「あまり無い」のとでは大きく違いますのでご注意を。「運転者家族限定特約」(*1)をセットしている場合、車を1m動かしただけのときの事故であっても、「家族」以外の人が運転した場合は補償の対象外。

「家族以外の人が運転する機会はあまり無い(=少しはある)」場合は、「運転者家族限定特約」(*1)は付けない方が良いでしょう。

そのほかの、運転者の範囲を限定する特約

「運転者家族限定特約」(*1)と同様に運転者の範囲を限定する特約として、「運転者本人限定特約」「運転者本人・配偶者限定特約」(*1)といった特約があります。
いずれも限定した範囲外の方が運転中の事故については、保険金が支払われませんので、ご注意ください。

このほか、補償の対象となる運転者の年齢を限定する特約「運転者の年齢条件に関する特約」もあります。

他車運転危険補償特約が使える?

ここで紹介した事例で、Aさんが自動車保険(任意保険)に加入している場合、他車運転危険補償特約が利用できる可能性があります。

他車運転危険補償特約については、こちらをご参照ください。

自動車保険(任意保険)に運転者の範囲を限定する特約を付けていらっしゃる場合は、お子さんや友人の方による事故が補償の対象にならないケースもありますので、注意が必要です。
こちらで紹介した事例の場合は物損事故だったこともあり、自腹でどうにかなりましたが、これが人身事故だったら大変なことになっていたでしょう。

他車運転危険補償特約

特に「お子さんが免許を取得して車を運転するようになった」という場合で、「運転者本人限定特約」あるいは「運転者本人・配偶者限定特約」をセットしているときは、これらの特約を外しましょう。
そして、運転者の年齢条件を設定している場合は、年齢条件もお子さんの年齢に合わせて設定し直してくださいね。

ちなみに、一緒に住んでいないお子さん(別居の子)の場合は、「運転者の年齢条件に関する特約」は適用されません。