夏の車内放置の危険性〜熱中症による死亡事故を起こさないために〜

2023年5月時点の内容です。

車内放置の危険性

毎年、夏になると、駐車中の車内に子どもを放置し、子どもが熱中症にかかったり最悪の場合は亡くなってしまったりという悲しい事故が多発しています。

夏の晴天下における車内温度はどれくらい上がるのか?子どもはそれに耐えることはできるのか?
それらを知ると、少しの時間であっても「夏の車内に子どもを置き去りにする」という選択はできなくなるはずです。

まずは、夏の晴天下における車内温度の変化について解説します。

夏の晴天下、車内の室内はあっという間に高温になる

真夏の炎天下で車内温度がどのように変化するのかを確認するために一般社団法人日本自動車連盟(JAF)が行ったテストでは、8月の晴天かつ外気温35℃という状況で、窓を閉め切った状態のクルマ(ボディの色は黒)を昼の12時から駐車した場合、エンジン停止30分後に車内温度が約45℃を記録し、15時頃には55℃を超えました。
また、クルマの窓を3p程度開けた状態でも、30分後の車内温度は約40℃、15時の時点では約45℃になったそうです。

一般社団法人日本自動車連盟(JAF)が行った車内温度の測定条件
車内温度の変化

※JAF クルマ何でも質問箱 晴天下(炎天下)のクルマの室内はどのくらい温度が高くなりますか?夏編 より画像を引用

高温の車内は、子どものみならず、大人でも危険

このような高温の車内では、短時間で脱水症状や熱中症を招くだけではなく、命を落とす危険性もあるため、子どもはもちろん、大人でも大変過酷な状況と言えます。
環境省によると、最高気温が30℃を超えるあたりから熱中症による死亡が増え始め、その後気温が高くなるにつれて死亡率が急激に上昇するそうです。
先に紹介したJAFのテストでは、エンジン停止から15分後には熱中症の指標である暑さ指数が危険レベル(31℃以上)に達しており、車内が高温になると大変危険であることが分かります。

それに加え、子どもは体温の調節機能が低いため、熱中症にかかりやすいと言われています。
「子どもが寝ているから」「すぐに戻るから」・・・たとえ数分間だとしても、車内に幼い子どもを残すことは、熱中症以外にもさまざまな危険をはらんでいますので、絶対に避けましょう。

車内の効果的なクールダウン方法

車内の効果的なクールダウン方法

夏は駐車していたクルマに戻ると、そのまま乗込むことがためらわれるほど車内の温度が高くなっています。

それでは、駐車していたクルマが高温になった場合は、どうしたら車内温度を早く下げることができるでしょうか。
一般社団法人日本自動車連盟(JAF)の実験によると、「エアコン+走行」が、最も早く温度を下げることができたそうです。

【車内の温度を効果的に下げる方法】

窓を全開の状態でエアコン(オート)を外気導入にし、温度設定はLo(最低)にして走行します。車内の熱気を追い出したら2分後に窓を閉め、エアコンを内気循環にして冷やしましょう。

なお、高温になっている車内では、ハンドルやダッシュボードをはじめ、チャイルドシートの表面、ベルトの金具などに熱が蓄積している傾向にあります。乗車の際は、やけどをしないよう十分注意してください。