【過失割合】渋滞中の車両の合間をぬって右折した車とバイクの事故

2023年5月時点の内容です。

連休や行楽シーズンになると、高速道路、一般道路ともに渋滞が発生しやすくなります。渋滞中の車列の合間をぬって右折等をするというシーンはよくあると思いますが、その際にしっかりと危険予測をしながら運転していますか?

渋滞時に生じがちな事故を例に、過失割合について解説します。

【ご注意!】

ここで紹介する過失割合は、あくまでも一般的な基本の割合です。事故や事故当時の状況によって過失割合は異なります。あくまでもご参考とお考えください。

【事例】信号機の無い交差点における、渋滞中の車列の合間をぬって右折をした車と、直進バイクとの事故

信号機の無い交通量の多い交差点にて、渋滞が切れるタイミングを待っていた右折車が、車列の合間をぬって右折をしたところ、反対車線を直進してきたバイクが衝突してしまいました。

信号機の無い交差点における、渋滞中の車列の合間をぬって右折をした車と、直進バイクとの事故

【過失割合】

A(右折をした車):B(直進バイク)= 70:30

【解説】

車列の合間をぬって右折をした車側には、渋滞中の車列の合間からバイクなどが直進してくることを想定する必要があります。この事例では、右折をした車の方に、直進するバイクに対する注意を怠ったという過失があるとされます。
一方で、直進バイクにも、渋滞車両の中に交差点の手前で前方を空けて停止し進路を譲っている車があり、そこから別の車が進入してくることが想定できるにもかかわらず、進入車両に対する注意を怠ったという過失があります。
双方でお互いを視認しづらい状況ではありますが、道路交通法上では直進車が優先されるという原則があるため、過失割合も直進車であるバイクの方が小さくなります。

ただし、右折をした車が、そろそろと慎重に頭を出しながら交差点に進入していたにもかかわらず、バイクが右折車の存在に気付くのが遅れて衝突をした場合、著しい前方不注意があったとしてB(直進バイク)側の過失割合が10〜20%加算される可能性があります。

また、バイクが時速15km以上の速度超過をしていた場合なども、B(直進バイク)側に著しい過失があったとされ、過失割合が20%加算される可能性があります。

事故を防ぐために「かもしれない運転」を心掛ける

交通事故の多くは、ドライバーの危険に対する予測が不十分だったり、予測に対する判断が誤っていたりすることが原因で発生します。
いつも通る道だからといって、「だろう運転」にはなっていませんか?「だろう運転」とは、「多分相手が道を譲ってくれるだろう」「こんな場所では子どもが飛び出してこないだろう」など、自分に都合のよい予測を立てて運転することを言います。
この考えが日頃から根付いてしまうと、それが原因で事故が起きてしまうと言われています。

「だろう運転」の反対の意味として「かもしれない運転」があります。「かもしれない運転」とは、「前の車がいきなり止まるかもしれない。危険なので車間距離を十分に取っておこう」など、常に慎重にさまざまな可能性を想定することで即座に安全な措置がとれるよう準備しておく運転のことを言います。

あらためて、「かもしれない運転」ができているか振り返ってみませんか。