2018年09月19日|編集:福田
夏から秋にかけては、台風の上陸する数が増える季節。また、近年はゲリラ豪雨と呼ばれる突然の局地的な大雨や雷も増えています。
台風やゲリラ豪雨などにより雨量が突然増加すると、土砂災害や河川の氾濫、道路の冠水などが起こり、家屋などの建物だけでなく車にも損害を与える場合があります。ここでは、台風やゲリラ豪雨による損害に対して、どのような保険金が支払われる可能性があるか解説します。
【ご注意!】
ここで紹介する事例等は、あくまでも当社の商品内容に基づくもので、かつ、一般的なものです。ご契約内容や損害を受けた状況などによって実際の対応は異なることがあります。
台風やゲリラ豪雨によって車が損傷した場合、修理にかかった費用などについて車両保険から保険金が支払われます。車両保険には、主に「一般型」と「エコノミー型」がありますが、台風やゲリラ豪雨はいずれの車両保険でも保険金支払の対象です。
また、洪水・高潮による水害、暴風などの自然災害で車が損傷した場合も、車両保険から保険金が支払われます。
では、「台風やゲリラ豪雨による損害」はどのようなものが考えられるでしょうか?例をいくつか紹介します。
□ 暴風により近所の店の看板や家の屋根瓦が飛んできて車に傷がついた。
□ ガード下の冠水で水没した。
□ 機械式駐車場ごと水没した。
□ 豪雨による土砂崩れに巻き込まれた。
□ 暴風で駐車場の木が倒れてきて車に傷がついた。
□ 強風にあおられて車が横転した。
支払われる保険金の額は?
車の損害額から免責金額(自己負担額)を引いた金額が、車両保険金として支払われます。ただし、水没したり土砂に埋もれたりした場合など、車の損傷が激しいときは「全損」(*1)となることも少なくありません。全損となった場合は保険金額の全額が支払われます。なお、全損の場合は、免責金額は引かれませんが、保険金額以上の保険金が支払われることもありません。
車両保険の保険金額が200万円、免責金額10万円の場合を例に挙げてみましょう。
保険金額を超えるため全損扱いとなり、免責金額は差し引かれず保険金額200万円全額が車両保険金として支払われます。
全損扱いとならないため、免責金額10万円を引いた40万円が車両保険金として支払われます。
また、もし車のトランクまたはキャリアに積んでいた個人が所有する物が損傷してしまった場合は、「車内身の回り品特約(*2)」が付いていれば、同特約から保険金が支払われます。
(*1)「全損」とは、損害額・修理費が保険金額を超えてしまうことをいいます。
(*2)保険会社によって特約名称が異なりますのでご注意ください。
車を運転中に台風やゲリラ豪雨に巻き込まれ、車の損害だけでなく自分や同乗者がケガをしてしまうケースも考えられます。
例えば、運転中に暴風でモノが飛んできてフロントガラスにぶつかり、乗っている人がケガしてしまった、もしくは、運転中に車が水没し脱出する際にケガをしてしまったというケースがあるでしょう。
その場合、人身傷害保険や搭乗者傷害特約など、乗車中の方のケガなどを補償する保険を付帯していれば、保険金のお支払いの対象となります。
※人身傷害保険や搭乗者傷害特約については、以下記事をご参照ください。
【保険の選び方】自分や同乗者の補償(人身傷害保険と搭乗者傷害特約)
ソニー損保では、台風やゲリラ豪雨などによる損傷で「車両保険」と「車内身の回り品特約」のいずれか一方もしくは双方のみから保険金をお支払いした場合については「1等級ダウン事故」としており、次年度の契約の等級は事故1件につき1等級下がり、次年度の1年間のみ事故あり係数が適用されます。
人身傷害保険や搭乗者傷害特約については、それらの保険のみから保険金をお支払いした場合は、損害の原因にかかわらず「ノーカウント事故」となり、事故がなかったときと同様に次年度の契約の等級が1つ上がります。
台風やゲリラ豪雨のような集中豪雨などに関する痛ましいニュースとともに、「災害救助法」という言葉を耳にされたことがあるかもしれません。災害救助法とは、「災害に際して、国が地方公共団体、日本赤十字社その他の団体及び国民の協力の下に、応急的に、必要な救助を行い、災害にかかった者の保護と社会の秩序の保全を図ることを目的」とした法律です。(災害救助法第一条) 災害により市町村の人口に応じた一定数以上の住家の滅失等がある場合などに適用されます。
災害救助法が適用されると、適用された地域にお住まいの方が被害を受けた場合、自動車保険や火災保険などの「継続契約の締結手続」や「保険料のお支払い」について、一定期間の猶予を設けるといった取扱いをしてもらえる場合があります。詳しくは各保険会社にご確認ください。
台風やゲリラ豪雨などの損害に対し、自動車保険が使える可能性があることはご理解いただけたかと思います。もちろん、自動車保険を使うような事態に遭遇しないに越したことはありません。大きな被害が予想される台風等の接近が報じられている時は、以下の対策をとりましょう。
早めに車を高台に移動させるなど、できる限りの予防策を講じることをおすすめします。また、街中を走っている時に急に水かさが増えてきてこのままでは水没しそう・・・、といった身の危険を感じる事態に遭遇してしまったら、車を置いてでも、まずは逃げましょう。
どんな強風でも車に乗っていたら大丈夫、というわけではありません。
気象庁が公開している解説用資料「風の強さと吹き方」では、風の強さ(平均風速など)ごとに走行中の車への影響について、次のように解説しています。天気予報では風の強さも報じられますので、例えば「非常に強い風」や「猛烈な風」の場合は、運転しないなどの判断が命を守ることにつながります。
気象庁「風の強さと吹き方」(https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/yougo_hp/kazehyo.html)を加工して作成
1. 風速は地形や周りの建物などに影響されますので、その場所での風速は近くにある観測所の値と大きく異なることがあります。
2. 風速が同じであっても、対象となる建物、構造物の状態や風の吹き方によって被害が異なる場合があります。この表では、ある風速が観測された際に、通常発生する現象や被害を記述していますので、これより大きな被害が発生したり、逆に小さな被害にとどまる場合もあります。
3. 物への影響は日本風工学会の「瞬間風速と人や街の様子との関係」を参考に作成しています。今後、表現など実状と合わなくなった場合には内容を変更することがあります。
このコーナーでは、ドライブやカーライフに関する一般的な情報をご紹介しております。個別のご質問につきましてはコメントとしてご投稿いただいても、弊社から回答をさしあげることはできません。あしからずご了承ください。
(出典)
気象庁 天気予報等で用いる用語「風の強さと吹き方」
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/yougo_hp/kazehyo.html (2018年9月11日参照)
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公開日:2013年7月9日
最終更新日:2018年9月19日