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約款を読むコツ

2018年05月21日|編集:小原(香)

目に見えない無形の商品である保険契約の内容を説明した書類が、「約款」。文字の多さに閉口し、「ずっと引き出しに入れっぱなし」という方も多いと思います。今回は、敬遠されがちな「約款」について、読み方のポイントをファイナンシャルプランナーの深沢さんに解説していただきました。

ファイナンシャルプランナー深沢泉さんのプロフィール

はじめに

皆さんが保険に加入するということは、皆さんと保険会社が「保険契約」を交わすことであり、双方が契約の当事者となります。契約の当事者間でトラブルがないように、契約の具体的な内容や条件を確認できるよう、精緻な文書にしたものが「約款」です。

224082_01.jpgそのため、約款は専門用語を使って細かい字でビッシリと記載されています。しかも分量が多いので、読み込むことは大変な作業であることは事実。約款は全く読まない、という人も多いのではないでしょうか。

そこで、今回はソニー損保の自動車保険の「普通保険約款・特約(以下「約款」)」を題材に、約款を読む練習をしてみましょう。なお、以下で「当会社」とあるのは、ここではこの自動車保険を引受けるソニー損保をさします。

※ 今回は、「第1章 賠償責任条項」「第3章 車両条項」の条文を例示して解説します。
※ 約款は一部を抜粋したもので、全文ではありません。
※ ここでは、保険開始日が2018年4月1日以降の契約に適用される約款を例示して説明しています。保険開始日が2018年3月31日以前の契約に適用される約款については、記載内容が異なる部分がありますが、ご了承ください。

約款で特にチェックしたいポイント

確かに約款は難しいのですが、契約の当事者として知っておきたいことは、次の3つに絞られます。

224082_02.jpg①用語の確認
②どんなときに保険金が支払われるのか
③どんなときに保険金が支払われないのか

この3つを意識しながら読み進めていけば、補償される内容が把握できると思います。

用語の定義

まずは用語の確認です。最近の自動車保険の約款では、各章の冒頭で、約款の中に使われている「用語」について定義しています。
少し読んでみると・・・普段使うことのない単語ばかりですね。でも損害保険の世界では、知っておきたい単語です。各章を読み進める際にチェックしておきましょう。

※ 下表の下線部については、「人を死傷させたときの補償内容」で解説します。

・第1章 賠償責任条項 第1条(用語の定義) 【抜粋】
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人を死傷させたときの補償内容(対人賠償)

最初に、人を死傷させたときに保険金が支払われる対人賠償保険についてみていきましょう。前述のように、どんなときに保険金が支払われ、どんなときに保険金が支払われないか、という点に注目して読み進めていってください。

対人賠償保険とは、たとえば自動車を運転していて、相手を死亡させたりケガをさせたりして相手に与えた損害(治療費、慰謝料、休業損害、被害がなければ将来得られたであろう収入)を金額に換算して補償するものです。

注意すべき点は、約款上の「対人事故」とは、上表(第1章 賠償責任条項 第1条(用語の定義))の下線部の通り、「被保険自動車」によるものです。対人賠償においては、保険証券記載の自動車(=被保険自動車)以外の事故は補償されません。

したがって、車の買替えなどで「被保険自動車」が変わったときに車両入替手続をしないまま放置していると、事故に遭ってしまった場合、保険金が支払われない可能性がありますので、要注意です。

ま た、下に紹介する(第1章 賠償責任条項 第2条(保険金を支払う場合))の下線部にあるように、支払われる保険金は、損害額が、法律で加入が義務付けられている自賠責保険によって支払われる限度 額(死亡による損害3,000万円、後遺障害による損害4,000万円、傷害による損害120万円)を超過する部分についてです。

なお、対人事故では、自賠責保険等で支払われる金額を大きく超える判決は少なくありません。これをカバーできるのが任意の自動車保険なのです。この点を考慮すると、対人賠償の保険金額は「無制限」とすべきです。

・第1章 賠償責任条項 第2条(保険金を支払う場合―対人賠償)【抜粋】
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相手の財産に損害を与えたときの補償内容(対物賠償)

対人賠償はまず自賠責保険等で補償することになりますが、対物賠償は自賠責保険等では補償されません。したがって、任意の自動車保険に加入しなければ、車の運転中に相手の財産に損害を与えた場合の補償はされません。

損害を与える可能性があるものは、相手の車だけではなく、建物、トラックの積み荷、高速道路の情報表示システムなどさまざまです。また場合によっては、かなりの高額となる可能性もあります。

したがって、対人賠償と同様、対物賠償の保険金額も「無制限」がおすすめです。

・第1章 賠償責任条項 第3条(保険金を支払う場合―対物賠償)【抜粋】
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対人賠償で保険金が支払われない場合

保険金が支払われない場合については、約款を読む上で重要であることは、前述の通りです。細かく定められていますので、注意して読み進めていきましょう。

親 が車庫入れで車を後退させているときに、運転操作を誤ってわが子にケガさせてしまった、という事故を耳にすることがあります。自賠責保険では、このような 父母・配偶者・子に対する人身事故であっても、被害者が車の所有者・運転者等(いわゆる「運行供用者」)以外である場合には、補償の対象となります。

しかし、下に紹介した(第1章 賠償責任条項 第5条 (保険金を支払わない場合-その2 対人賠償))のとおり、任意の自動車保険では補償されないので、注意が必要です。

・第1章 賠償責任条項 第5条(保険金を支払わない場合―その2対人賠償)【抜粋】
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車両保険で保険金が支払われない場合は?

車両保険は、衝突、接触、墜落、転覆、物の飛来・落下、火災、爆発、盗難、台風、洪水、高潮など、偶然な事故によって、被保険自動車に生じた損害に対して保険金が支払われるものです。

車両保険に関する条文(第3章 車両条項 第4条( 保険金を支払わない場合-その2))の⑤と⑥は、特に「盗難」に関して注意を要するポイントです。

⑤で要注意となるポイントは、下表の下線部の用語の定義です。

・第3章 車両条項 第4条(保険金を支払わない場合―その2)【抜粋】
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用 語の定義は、以下に紹介する(第3章 車両条項 第1条(用語の定義))にあり、「定着」とは、「ボルト、ナット、ねじ等で固定されており、工具等を使用しなければ容易に取りはずせない状態をいいます」 と規定されています。したがって車の備品であっても、被保険自動車にボルト・ナットで装着されていない場合や、単に被保険自動車の中に置きっぱなしの荷物 等が盗難に遭っても、補償されません。

また、ただし書きにあるように、建物に追突して被保険自動車と車両条項で定められた「付属品」が一緒に破損した場合や、火災による損害は、「定着」していなくてもかまいません。ここでのただし書きは、補償される部分なので、しっかり読んでおく必要がありますね。

・第3章 車両条項 第1条(用語の定義)【抜粋】
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また、もうひとつ注意したいポイントは⑥で、タイヤに生じた損害はパンクとの境目がないために、補償の対象外となっていることです。なお、ただし書きにあるように、タイヤの「盗難」は補償の対象となります。

・第3章 車両条項 第4条(保険金を支払わない場合―その2)【抜粋】
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ちなみに、(第3章 車両条項 第3条 ③)において、「地震もしくは噴火またはこれらによる津波」による車両の損害については保険金を支払わないと規定されています。損害保険では、基本的に、地震・噴火・津波による損害は補償の対象となりません。

さいごに

224082_10.JPG契約の当事者である以上、その内容についてキチンと確認せずに契約することは好ましいことではありません。保険契約の締結は約款の内容について合意したうえで成立しているとされます。

約款を全部読むことが難しくとも、約款の内容のうち特に重要な条項についてわかりやすく説明した「重要事項説明書」はキチンと読んで、内容を確認しておきましょう。

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