2018年07月23日|編集:福田
自動車保険は、主に「相手方への補償」と「自分や同乗者の補償」、「自分の車の補償」で構成されています。今回は、「自分や同乗者の補償」である、人身傷害保険と搭乗者傷害特約(搭乗者傷害保険)について、それぞれの特徴や違いについて紹介します。
【ご注意!】
ここで紹介する事例等は、ソニー損保の自動車保険の商品内容をもとに作成しています。補償の内容や特約の名称などは、保険会社によって異なりますので、ご注意ください。
人身傷害保険と搭乗者傷害特約はいずれも、自動車事故などでケガをしたり、死亡したりした場合などの損害を補償するものです。記名被保険者やその家族だけでなく、それ以外の同乗者も補償の対象となります。
このように、補償の対象となる人は同じですが、支払われる保険金の計算方法や補償内容は異なります。
相手方のある自動車事故でケガをしたり死亡したりした場合、相手方の過失分については相手から対人賠償保険金などで補償を受けることになりますが、過失割合を決めるための示談交渉には時間がかかることもあります。また、自分の過失分に関しては相手から補償してもらうことはできません。
人身傷害保険では、過失割合に関係なく、相手との示談交渉を待たずに、設定した保険金額を限度に、治療費の実費や休業補償など実際の損害額が保険金として支払われます。
また、人身傷害保険には「車内のみ補償型」と、補償範囲の広い「車内+車外補償型」があります。「車内+車外補償型」をセットしていれば、記名被保険者とその家族(*1)が、契約車両に乗っている間だけでなく、歩行中に遭った交通事故でも補償されます。歩行中に交通事故に遭うと、被害者が直接、相手方との示談交渉に臨まなければなりませんが、人身傷害保険「車内+車外補償型」をセットしていれば、自分の自動車保険で対応することができます。
あわせて、契約車両以外の車に乗車中の場合(*2)や、自転車に乗っているときに交通事故に遭ってしまった場合も補償されます。
(*1)ソニー損保の自動車保険では、記名被保険者の配偶者、記名被保険者またはその配偶者の同居の親族・別居の未婚の子をいいます。
(*2)契約車両以外の、記名被保険者とその家族が所有または常時使っている車に乗車中の事故の場合は補償の対象外になります。
一方、搭乗者傷害特約は、入通院日数や後遺障害の程度に応じて、あらかじめ決められた金額が支払われます。搭乗者傷害特約には、搭乗者傷害特約(傷害一時金)と搭乗者傷害特約(死亡・後遺障害)の2つがありますが、具体的には以下のように保険金が支払われます。
入通院4日以内:補償の対象となる方(契約車両に乗車中の方)1名ごとに1万円
入通院5日以上:補償の対象となる方(契約車両に乗車中の方)1名ごとに10万円
補償の対象となる方(契約車両に乗車中の方)が、事故日からその日を含めて180日以内に、死亡または後遺障害が残った場合に、設定した保険金額を限度に保険金が支払われます。
(*3)ソニー損保の場合、搭乗者傷害特約(傷害一時金)は人身傷害保険を契約した場合に限り付帯することができます。
(*4)ソニー損保の場合、搭乗者傷害特約(死亡・後遺障害)は搭乗者傷害特約(傷害一時金)をセットした場合に付帯することができます。
人身傷害保険と搭乗者傷害特約の両方をセットしている場合、補償の対象となる事故が起これば、両方から保険金が支払われます。
人身傷害保険の保険金額を3,000万円、搭乗者傷害特約(傷害一時金)をセットしているAさんが、交通事故でケガをしてしまった場合を例に挙げて解説します。
この場合、実際に支払われる保険金は、以下のようになります。
このように、実際の損害額が人身傷害保険の保険金額の範囲内におさまる場合、実際に生じた損害額以上の保険金が支払われることになります。
人身傷害保険では、保険金額の上限まで実際の損害額を補償できるので、ソニー損保では、補償の厚い人身傷害保険を基本の補償としてセットすることをおすすめしています。
必要最低限の補償で良いと考えている方は人身傷害保険のみとし、さらに手厚い補償をご希望の方は、搭乗者傷害特約のセットを検討されるとよいでしょう。
このほか、生命保険や民間の医療保険に加入されている場合は、死亡・後遺障害には生命保険などの保険で備え、人身傷害保険は自動車事故によるケガのみに備えるものと割り切った保険金額とし、保険料を抑えるという選択もあります。
※人身傷害保険の保険金額の設定に迷われている方は、こちらをご参照ください。
よくある質問 人身傷害の保険金額はいくらにすればいいの
人身傷害保険や搭乗者傷害特約のみから保険金が支払われた場合は「ノーカウント事故」となり、次年度の等級は下がりません。保険期間中に等級の下がる保険金請求をしない限り、次年度の等級は1つ上がります。
自動車保険は「加入しておけば安心」ではなく、自分に必要な補償を選ぶことが重要です。支払うコスト(保険料)も踏まえながら、「わが家の場合はどれくらいの補償が適当か」を検討されてはいかがでしょうか。