「車検」と「定期点検」の違いって?

2023年5月時点の内容です。

去年「車検」を受けたばかりなのに、またディーラーから「定期点検」の通知がきたの?
「車検」と「定期点検」、似たようなイメージでその違いがよくわからず、こんなふうに不思議に思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。
それぞれの検査の内容や性格について解説します。

車検は絶対に必要な手続き

車検とは「自動車検査登録制度」の略称で、一定期間ごとに自動車や排気量250cc超の自動二輪車に対して国が行う検査です。自家用乗用車の場合は、初回の有効期間が3年、以降は2年となり、車検の有効期間が終わる前に車検を通す必要があります。
(※軽自動車の場合、自家用乗用車と同じく車検の有効期間は初回が3年、以降は2年ごとになりますが、国ではなく軽自動車検査協会が交付・検査・届出管理を行います。)
車検は基本的に外観や安全防止面、公害対策面などが保安基準に適合しているかどうかをチェックするもので、検査に合格すると次回車検時まで公道を走行してもよいという許可が出たことになり、「自動車検査証」と「検査標章(フロントウインドウに貼るステッカー)」が国土交通大臣(実際には運輸支局など)から発行されます。
言い換えれば、車検に通ってないクルマで公道を走ることは法律に違反することなり、罰則の対象となります。

知っておきたい車検の目的

ところで、車検の目的について思い違いをしているドライバーも多いようです。
車検はあくまで保安基準に適合しているかを確認する検査であって、整備や劣化した部品の交換を目的とするものではありません。もちろん、次回車検時までの整備保証もされません。
ここで、「あれ?車検のときに委託した整備工場から保証書が出たけど?」という方は、車検時に「定期点検整備」も同時に行う「整備車検」を受けていたのではないでしょうか。一般的にはこの「整備車検」が多いようです。

検査標準のイメージ

※車検証の携行とともに、フロントウィンドウに検査標章を貼ることが義務づけられています。

【ワンポイント】

普段あまり意識されないかもしれませんが、車検時には自動車重量税も一緒に支払われていることがほとんどです。自動車の税金ガイドでは、わかりづらい自動車に関する税金の仕組みについてわかりやすく解説しています。

クルマの「健康診断」=定期点検

定期点検や○ヵ月点検と呼ばれるものは正式には「定期点検整備」といいます。これは自動車の故障を未然に防ぎ、その性能維持を図るために行う予防点検です。いわば人間でいう「健康診断」とイメージしておけば分かりやすいかもしれません。
自動車の使用者は、定められた期間(1年点検および2年点検)ごとにこの定期点検整備を行うことが義務づけられています。

点検整備は法令上使用者が行うものとなっていますが、実際の1年点検と2年点検の点検項目には機械整備のプロではない人には難しい分解整備作業が必要となり、そのため、一般的にディーラーなどの認証整備工場や指定整備工場(民間車検場)に委託することになります。

点検整備のステッカー

※整備工場での点検整備後にフロントウィンドウに貼られるステッカーは、次回の点検整備時期を知らせるためのものです。

なお、これとは別にクルマに安全に乗るために「日常点検」をすることも義務づけられています。国土交通省のウェブサイトでブレーキからタイヤにいたるまでの日常点検の方法を紹介していますので、点検方法を復習してみてはいかがでしょうか。

国土交通省ホームページ 忘れないで!クルマの点検・整備 > 日常点検

点検整備記録簿とは

定期点検整備を行っていないクルマに対しての法的な罰則はありません。しかし、車検の際には2年点検を確実に行った証明となる「点検整備記録簿」の提示が必要となります。みなさんのクルマにも「整備ノート」や「メンテナンス記録簿」といった冊子があると思いますが、それらが定期点検整備を行った場合に整備の作業内容を記載する点検整備記録簿になります。
なお、クルマの所有者自らが運輸支局や自動車検査事務所などで検査を行う「ユーザー車検」を行った場合も、当然、定期点検整備は行わなければなりません。
「メカに詳しい友人に点検してもらった」というのは通用しませんのでご注意を。なぜなら、定期点検整備では分解整備事業者以外が他人のクルマの分解整備を行うことは認められていないからです。

私たちも健康診断がきっかけで潜在的な病気に気付くことがあります。クルマも同じで、しっかりと点検整備を行うことで故障したときの修理費用や不慮の事故を起こしてしまうリスクを軽減できます。欠かさずに実施するようにしましょう。

点検整備記録簿

※認証整備工場や指定整備工場で点検整備を行うと、必ず点検整備記録簿が記載されて発行されます。整備内容はしっかりと確認しましょう。

クルマの保守管理(点検整備)は、ユーザーの自己責任のもとに行うものです。常にご自分の愛車を安全に走行できるよう、しっかり整備をしておきたいものです。