2013年09月13日|編集:福田
最近、鏡を見て「少し白髪が増えた?」とか「薄くなったような気が…」などとつぶやくことはありませんか?
髪というと、つい色や量にとらわれがちですが、むしろ髪をはぐくむ頭皮の状態を意識してみてください。
東洋医学では、人を視覚的に観察してその人の健康状態を把握します。例えば、爪の状態や目のつやなどから病気を予測します。頭皮に関しても同じように、「頭皮の色」で全身の健康状態がある程度わかるのだそうです。
頭皮の色は、青白色が健康で、白色→黄色→赤→くすんだ赤→茶褐色、の順に不健康であると分類されています。寝不足・ストレス・疲れなどの影響から、頭皮は徐々に変色し、最終段階の茶褐色に至ると全身の免疫機能の低下も考えられるそうです。
すべての症状が頭皮の色に現れるわけではありませんが、体調不良が頭皮に影響することは間違いないようです。今回は、東洋医学の視点から、頭皮の色に着目してお話しします。
通常、健康な頭皮は、青白い色をしています。頭皮内の毛根部で作られている、新生毛(新たに生えた毛)が透けて見えるからです。
また、頭皮には、多くの毛細血管とリンパ管があります。頭皮を流れる血流量は体の中で最も多いといわれますが、それだけ頭皮の細胞には盛んに栄養分が送られ、活発に活動しているということです。しかし、寝不足やストレスがたまったり、肩こりが強くなったりすると、頭皮全体の血流が滞り、その結果、頭皮の色が変化したり固く弾力のない状態になったりします。髪は、副交感神経の働きで成長ホルモンの分泌が盛んになる睡眠中に伸びますが、頭皮全体の血流が滞ると毛根に十分な栄養が行渡らなくなり、髪が正常に成長しなくなります。薄毛・脱毛は、遺伝・ホルモンの影響が原因としてよく知られていますが、疲れやストレスによる頭皮の健康悪化も原因になるのです。
つまり、髪が健康でいるためには頭皮の健康が大切で、頭皮の健康には全身の健康が欠かせないのです。
普段、頭皮の色を自分で見ることは、なかなかありませんよね。日中の日当たりの良い窓辺などで、鏡を使って見てみるといいでしょう。家族など、近くに協力してもらえる人がいるようなら、お願いして見てもらうのもいいでしょう。
分け目付近は、日焼けしやすいので、チェックするときは分け目ではない部分を見ると本当の色がわかります。
寝不足・ストレス・疲れがたまって血行不良の状態です。
睡眠・休息を十分にとって、気分転換をはかり、ストレスをためないようにしましょう。
血行不良の状態が長く続いているようです。疲れをためないようにするのはもちろんのこと、バランスの良い食生活で栄養をしっかりとりましょう。
重度の疲れ・ストレスがあるようです。さらに全身の免疫機能の低下が考えられます。
体が重い・肩がこるなどの自覚症状はありませんか?
風邪を引きやすくなっていませんか?
ストレスは免疫機能を低下させることがわかっています。
疲れがたまっていて、全身の血行が悪く、免疫機能が低下している状態なので、総合的に生活を改善する工夫が必要でしょう。
十分な睡眠・バランスの良い食生活はもちろんですが、首・肩のコリを解消する運動や頭皮マッサージも行いましょう。
頭皮がピンクまたは赤色の場合は、日焼けやシャンプー・整髪料など体外からの影響も考えられます。かゆみや痛みを伴う場合には、なんらかのアレルギーや炎症の可能性がありますので症状によっては受診をご検討ください。
~頭皮の動きもチェックしてみよう~
「頭皮の色は問題なかったので安心」とばかりはいえません。色は問題なくても、頭皮が固い状態は、要注意です。血行不良を起こしているので、ストレスや疲れがたまっている可能性があります。
両手のひらで頭部をおさえてみて、多少弾力があり前後左右に動くか確認してみましょう。
日ごろから、首・肩の体操を心がけましょう。
首は、前後左右に傾ける・回転させるなどの運動を行いましょう。
肩は、上下に動かす・前後に回す・両手を後頭部で組んだ状態で、ひじを前後に動かすなどの運動を行いましょう。
1日3分程度のマッサージで、頭皮を柔らかくすると、全身の血液とリンパの流れが良くなり、疲れが解消されます。自宅で簡単にできますので、ぜひやってみましょう。
指4本で、下から頭頂部に向かい指の腹でゆっくり押し上げていきます。次に、頭皮全体をもみほぐしていきます。後頭部も、襟足から頭頂部にかけて押し上げながら、ゆっくりもみほぐします。首筋から肩にかけてマッサージします。
ポイントは「爪をたてず」「まんべんなく」「少し痛い気持ちいい強さ」です。
そしてなにより、「目をつぶり、リラックスした気持ちで行う」ことが大切です。
理想的な睡眠の姿勢は、背骨が生理的湾曲を保っている状態です。
枕が高すぎたり、マットレスが柔らかすぎたり固すぎたりすると、体圧が分散されず肩や腰に負担がかかり、血行不良や筋疲労を起こします。
睡眠中、何度も寝返りをうつ場合は、寝具が合わないために良質な睡眠がとれていない可能性があります。
低反発マットレスや体圧分散型マットレスを検討してみてもいいでしょう。
頭皮の血管を作る役目をする動物性・植物性のタンパク質をとりましょう。
良質なタンパク質は、イワシ・タイ・イカ・エビ・ささみ肉・チーズ・豆腐・大豆・卵・牛乳などに含まれています。
また、タンパク質の合成と関係のある亜鉛も積極的にとりましょう。
亜鉛を多く含む食品の代表がウナギです。そのほか、レバー・カキ・卵黄・牛肉・アーモンドなどにも亜鉛が含まれています。
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執筆 : 河野 知子(こうの ともこ) 看護師 フリーライター